焚き付けの赤黒く枯れた杉の葉
松の根っこのあかし マッチの硫黄が交じる朝の臭い
これがこどもの頃、毎朝母がかまどでごはんを炊くときの臭い
どこの家からも競争するようにけむりがたちあがる
となりの長助のかいどでは稲代に使うモミガラを焼くけむり
馬屋では、祖父が飼馬にワラを与えながらふかすタバコ(キキョウ)のけむり
囲炉裏には
半分もえたナラの木に豆がらをたしてパチパチと味噌汁をわかすけむり
なべのふちには、バランスを取っているどんびき〔おもり〕
炭焼き窯からは、もう口止めが間近になったすっぱい青白いけむり